片付けへの抵抗感と親への反発(下)
(上)から続きます。
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電話で家の片づけをしないと、母と約束した私は
飛行機の移動で疲れているのに、外で待たせるのは申し訳ないと思い、
勤務先のレストランで、家のカギを渡して、
先に、家で休んでもらうことにしました。
両親は、レストランの食事をとてもおいしいと
喜んでくれました。私も、とても嬉しく思いました。
母は、もし、ペットボトルがあったら
それだけは、ラベルはがして、つぶすのだけさせてね、と言いました。
何かしてくれるのが好きな母。
それならいいよ、と私は言って、私は両親を見送りました。
その日は、たまたまお客さまも少なく、早く上がれたんです。
さっと昼食を食べて、すぐに子供を迎えに行こう、
きっと喜ぶぞ~、とウキウキしながら帰りました。
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家に着いたら、母が、小雨の中、雑草取りをしていました。
ああ、この人は、やっぱりそういう人なんだ、と
急に絶望感に襲われました。
してくれたいのは分かるけど、雨の中はやめなよ、
と私が言っても、すぐに終わるから、あとこれだけさせてね、
と、雑草取りを続けます。
家の中に入ると、父が、片づけておいてやったぞ、
これは、ゴミしか入ってないからな、と、嬉しげに袋を見せられました。
ぱっと見ると、たしかに、明らかなゴミもありましたが
一見ゴミに見える、子供の大切なものもたくさん混じっています。
私は、子供のものを子供のいないところで確認を取らずに
勝手に捨てたことはありません。
私は、頭にカーッと血が上りました。
それに追い打ちをかけた、とても嬉しそうな父の言葉。
「あんなこじゃれた店で働いてるんだ。
少しは、この家もこじゃれたように、片づけなきゃだめだぞ。」
「片付いてなくて、悪かったね!
次からは、私に釣り合うように、小汚いお店で働くよ!」
私はそう捨て台詞を吐き、庭ばさみを持って、
家から出て、前から気になっていた、敷地からはみ出した庭木の枝を
ばさばさと切って落としました。涙が、どんどん出てきました。
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枝を片づけて戻ると、母が少し、おろおろした顔で玄関にいました。
「片づけないって言ったから、安心して、カギを渡したのに。」
「帰ってくるまでに、すぐ終わるからと思って、
玄関のとこだけ、ちょっと草取りしてたの。」
「草取りしたいって言うのは、知ってる。でも雨の中やることないでしょ。」
「でも、すぐ終わるし、かこちゃんの帰ってくる前に
さっとやっちゃおうと思って。」
「ペットボトルだけ、って言ってたじゃない。
私が怒ってるのは、お父さんが家の中を片付けしてたこと。」
「だって、かこちゃん、帰ってきたら、やらなくっていいって言うでしょ?
いつも嫌な顔するでしょ?」
「私が、お父さんとお母さんが満足できるように
片づけておかなかったから、手を出されても仕方がない。私が悪い。
でも、なんで、私がいない間にやろうとするの?」
「かこちゃん、今まで、お母さん、ずっと我慢してきたんだよ。
お嫁さんの家ならともかく、娘の家に行って、片付けしない親なんていない。
今まで、家が片付いてなくても、何回も我慢して、
何もしないようにしてきた。今回くらい、たまに、いいじゃない。
何かしてやりたいって、役に立つかな、それがいいかなって。」
「私が嫌がるの、知ってるんだよね。電話でやらないって言ったよね。」
「うん。言った。でも、今まで、かこちゃんと旦那さんの家だから
片付いてない方が、居心地いいのかと思ってから、我慢してた。」
「我慢ならないなら、我慢できないって言えばいいじゃない。
私も片付いていない家の方がいいなんて思ってない。
でも、私の見ていないところで、どうして勝手にするの?
せめて、一緒にやろうって言ってよ。」
大泣きしてしまいました。泣いて、泣いて、泣きました。
自分が、どうして大泣きしているのか、分からないほど怒っていました。
結局、私がどう思っているかよりも、自分のよかれと思うことを優先する、
それで、結果的には、娘が喜ぶはず、という考えは変わらないのです。
娘は嫌がるけど、自分のしたいようにする、と
思っている方が、よっぽどマシです。
話になりません。全然噛みあいません。
なんで私が怒ったのか、きっと、結局分かってはもらえなかったと思います。
私は、泣いて怒ってごめんね、疲れてたの、と、あやまってしまいました。
母を悲しませたくなかったから。
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結局、その日から、二日間、子供たちを巻き込んで一緒に大掃除。
目を離すと、すぐに父は勝手におもちゃをゴミにしているし。
子供たちが納得したうえで大物のジャングルジムを
捨てることができたのは、大きな成果ではありましたが。
部屋が広くなりました。
親は、かこが嫌がることをしたけど、結局とてもいいことをした、
役に立ったと、大満足して帰ったと思います。
きっと、結果的に、孫や娘婿や娘は喜んでいる、
私たちのしたことは、良かったんだと、話していることでしょう。
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溶けてしまわないように、私の部屋にわざわざ置いてあった
ハロウィンチョコも、二階のお菓子置き場に移動していました。
まあ、そんなものです。わざわざ、言いません。
私も、つまらない親への反抗心や、抵抗感で
家の環境を悪くするのは、もう、やめようと思います。
離れているし、分かってもらえないから。
私だって、親の気持ちを分かっていて、受け入れられないんだもの。
親が、私の気持ちを受け入れてくれなくても、しょうがない。
しょせんは、遠く離れた、別の家庭の人間だものね。
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◆「良かれと思って」の罪深さ
私が納得したエントリーです。
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コメント
私も親とはいえ、勝手に片付けられるのはイヤかも。
旦那ですら、台所とかに入られるのイヤだし。
自分が置いてた場所と、違う場所とかに、
物を仕舞われたりすることが、
とってもイヤなんですよ。
そんなキッチリした性格ではないはずなんですけどね・・・。
一緒に住んでるなら、どんなにケンカになっても、
わかってもらうまで話し合いますが、
離れて住んでるなら、我慢して、
これも親孝行なんだと割り切って、
片付けてもらうかな。
どれぐらい我慢できるかが、問題かも・・・。
>私がどう思っているかよりも、自分のよかれと思うことを優先する
ん~、親にありがちだな~。
まあ、よくある話ではあるんだけどねぇ。
自分のテリトリーに侵入されたとき、
自分でも驚くほどの拒絶感を感じるときがあるよね。
うわ。ここ、私の怒りのツボだったんだ~みたいな。
片づけさせてあげるのも、親孝行なんだとは思っているんだけど、
嫌なことをされて、喜ぶという感情を期待されるのが辛い。
うん。
私が嫌いなことを知っててやる
⇒
私が嫌がる
⇒
喜ぶのが当然なはずなのに、なぜ喜ばないのかと悲しむ
⇒
私自身が相手の期待通りに喜べないことに
罪悪感を感じてしまう
嫌なことをされるのが、嫌というより
喜びの感情を強制されるのが、いやなのだなぁ。
私もいやなんだよね
今は夫に対して
長い事私が守って私の使いやすいように置かれて物を
勝手に整理してしまうんだよね夫は
私の為を思って手伝おうとしてるのはわかるけど
はっきり言って有難迷惑
一家に主婦は二人いりません
お姑さんと同居してる人は
こんな感覚なんだろうと思う
夫は、片づけない人だから、
そういうストレスはないんだけど、
片付いたところに、平気でポイポイ置いていく人。
お姑さんと同居もあれだけど、
自分の親と同居も、遠慮がなくて大変だと思うよー笑。
もうちょっと、心が広くなれればいいんだけどねぇ。
私の部屋を納戸にすれば家全体が片付くのにって
毎回言われるのも嫌で。
一番大切な私の部屋だって言ってるじゃん!って
毎回言うんだけど笑。
夫も会社員の頃は片付けない人だったよ
どこでもポイポイする人だったけど
定年になって暇になってから
ちょこちょこさわる笑
だから余計うざい
親もお姑さんも夫も
一家に主婦は何人もいらん
手伝ってくれるならいいけど
私の思うようにねわらい
自分の考えたこと、とか、気持ちを汲んでもらえないこと、
どうでもいいことのように扱われちゃうのが
腹立つのかもね。
お前の気持ちはどうでもいい、
俺の言うとおりにしろ、って
言われているように感じちゃうのかなー。
で、自分の領域で、大切にしているものを
無神経に浸食されているように感じて、
余計なお世話って、反発しちゃうのかなぁ。