音と紅茶の時間

音楽と恋の話、想い出話、今の心模様に、紅茶を添えて。

傷が治りゆく痛み

親知らずを抜いた。麻酔をして、大きい歯だったけれど、素直にまっすぐ抜けて出血はあまりなかった。

化膿止めと痛み止めが処方された。

 今は出血が止まっているけど、どうなってるのかなって舌で触ったりすると、傷が開くから気をつけてね。

 二時間経ったら、麻酔が切れるから、その前に一度、痛み止めを飲んでおくといいよ。引っ掻いたり、引っ張ったりして、傷ついたところが痛むはずだから。

 それから、二・三日経った頃に、また痛くなるから痛み止めを飲むといいよ。傷が治ろうとするときにどうしても痛みがでるんだ。これは仕方ないことだからね。

・・・傷が治ろうとするときには痛くなる・・・心の傷も一緒だ、って思った。

傷ついてるときには、驚きのあまり呆然としてしまったり、悲しみより先に怒りがわいてきて、痛みが麻痺して気づくのが遅れたりする。

怒りは心の防御反応だ。

しばらくして少し落ち着くと、傷が思いのほか深かったり大きかったりするのに気がつく。無防備に触れると、傷口がぱっくり割れ開いて、どろりと感情が流れ出てきたりする。

それでも日が経つと、だんだんと傷口が塞がっていく。ときどき痛みを吐き出しながら。

そう、傷が治りゆくときに心が痛みを感じるのは当然のこと。回復していくために必要な痛みなのだ。

いつしか傷が塞がり、そこに傷などなかったように思えるようになる。それでも消えない傷跡が薄く残ったり、なぜだか時々ふいに痛み出したりする。

そんなことを考える。歯肉で埋まりつつある穴の柔らかな感触をそっと舌で確かめながら。

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コメント

  • 私も時々思います。
    一度傷ついた場所は癒えることがないのだろうか・・・
    思い出すと心が張り裂けそうになるから心に蓋をして一時しのぎをしながら
    やり過ごしていくしかないんだろうか?
    麻痺するのは自己防衛本能の働きですよね?

    かつて、結ばれることの叶わない人と恋に落ちました。
    心も体もお互いを求めていました。
    でも、自分はクリスチャンであったし、
    相手の方も、これまで自分を支えてくれた妻を裏切ることのできない人でした。
    プラトニックにお互いに決別しました。

    自分の痛みときちんと向き合いながら、
    まるで子供の頃に受けた盲腸の傷を見ているようです。
    あぁ、確かに傷痕がある。でも今はもう痛まない。自分はこれで癒されたと。

    でもまだ夢に悩まされるのは本当はまだ過去の傷を引きずっているのかしら・・・?

  • 時間薬って言いますけど、傷があったことすら忘れてしまうまでには
    長い時間がかかることなのかもしれないですね。

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