音と紅茶の時間

音楽と恋の話、想い出話、今の心模様に、紅茶を添えて。

サンタクロースからの最後の手紙

クリスマスツリーを飾りながら、8才のちびうさぎが聞きました。

「ママ、サンタさんって、ほんとはパパとママなの?」

ちびうさママが、少し困った顔でたずねます。

「どうしてそんな風に思うの?」

「ともだちがいってたもん」

「ママじゃないけど・・・ふーむ」

ちびうさママは、ちょっと考え込んで言いました。

「ひょっとしたら、もう、ちびうさのところには、
 サンタさんが来てくれないかもしれないわ。
 だって、サンタさんは、サンタさんを信じてる子の
 家にしか来ないんだもの」

ちびうさぎは、はっとした顔になりました。

「ボクのところには、もうサンタさんがきてくれないかもしれない」

ちびうさママは続けます。

「ちびうさは、もうずいぶん大きくなっちゃったものねぇ」

ちびうさぎは、なんだかとてもしょんぼりした気持ちになりました。

*****

クリスマスイブの夜。

パジャマを着たちびうさぎは、うさママと一緒にクリスマスツリーの下に、
パティスリー・ラビゴットのクッキーをお皿に載せて置きました。

一口食べるだけで飛び跳ねるほど元気になれる、ラビゴットのお菓子。
靴下のかたちのクッキーです。

「サンタさん、たべてげんきになってくれるかなぁ・・・。
 でもサンタさん、もうきてくれないかも」

歯を磨きながら、ちびうさぎは思います。

ちびうさママは言いました。

「サンタさん、来てくれるといいわね。おやすみなさい」

ベッドに入っても、ちびうさぎは、なんだかよく眠れません。

「サンタさんに、わるいことしちゃったかも・・・。
 ボクがうたがったりしたから、がっかりしてるかも」

だんだん遠くなる意識の中で、ちびうさぎは鈴の音を聞いた気がしました。

*****

朝、目覚めたちびうさぎは、ぴょんぴょん走ってツリーのところに行きました。

お皿の上からクッキーが無くなっていて、プレゼントが、
一つ、二つ、三つ!

パパと、ママと、サンタさんからだ!

サンタクロースのプレゼントには、キラキラ光るカードがついていました。

『 親愛なる ちびうさぎくんへ

  ちびうさぎくん、これが私が君に贈る最後のプレゼントだよ。

  もちろん私は、君がとてもいい子だと知っているよ。

  でも、世界中では、毎年たくさんの赤ちゃんが生まれ、

  私のプレゼントを待っているちびっこが大勢いて、大いそがしなんだ。

  君はとても大きくなったから、今度は君より小さいお友達に

  順番を譲ってあげてくれるかい?

  これからも、いつも君の元気と幸せを願っているよ。

                       サンタクロース より

  追伸 クッキーとてもおいしかったよ。ごちそうさま、ありがとう。 』

ちびうさぎは、ポロリと涙をこぼして、ごしごし目を手でこすりました。

サンタさんからの最後のプレゼントが何だったかは、ないしょ、ナイショ。

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