音と紅茶の時間

音楽と恋の話、想い出話、今の心模様に、紅茶を添えて。

梅の魔女

梅シロップを漬けて2週間。すでにほぼ氷砂糖は溶けていて、炭酸で割って飲みはじめている。そろそろ梅の実を取り出して火を入れないと、と思う。

小鍋に梅シロップを漉しながら入れる。とろりとした薄い金色の液体。

弱火にかけながらゆっくりかき混ぜると、鍋の中心で、くるくると小さな氷砂糖の粒が回る。

粘度のある透明の液体が、ゆっくり重くスプーンに絡みながら渦を描く。

鍋底から小さな泡が生まれ、氷砂糖と一緒にくるくる周りながら浮かんでくる。

沸騰しないように、小さな火でゆっくりゆっくり。

金色の液体と浮かんでくる小さな泡を眺めながら、魔法の薬を作っているみたい、と思う。

だんだん氷砂糖の粒が小さくなり、完全に消えて、小さな泡だけが次々と鍋底から浮かんで消える。

火を止めた。このまま朝まで鍋ごと冷ます。

薄い金色の魔法の薬は、甘く酸っぱい、初夏の味。

♪ こちらもどうぞ ♪

栗ごはん ~たべものエッセイ~ ***** 栗は買ったり頂いたりしたら、すぐに加熱調理しないと、 あっというまに中で虫が大きく育ち、虫食いだらけになってしまう。 今日は、栗ごはん、という日は、母は真剣だった。 茶色のつやつやのたくさんの栗...
カフェラテ十三分間 キミがいつものようにレーズンパンをかじっているころ、もそもそと起き出して、キッチンに向かう。 ケトルのお湯は一度沸いて温まっている。もう一度火にかけて、沸騰させている間に、マグカップを棚から取り出し、ドリップコーヒーの封を切り、セットする...
ドン屋さんがやってきた ドン屋さんがやってきた かれこれ25年くらい前の記憶なので 少し間違っているかもしれませんが…。 北海道旭川市、私たち家族が、社宅の団地に住んでいた頃の話です。 ***** 冬の始め、まだ雪が降らない頃、小学校からの帰り道、 団...
クリームソーダ ~たべものエッセイ~ ***** 外食、それは私の憧れ。 節約を重ねていた我が実家。 たまに五人で行くのはラーメン屋さん。 帰りにもらうペコちゃんのペロペロキャンディーが とびきりのごちそう。 洋食屋さん、レストランというところ...
母のクリームワッフル 南部鉄器ワッフル型 小学校が早く終わった日や お休みの日には、 ときどき、母がワッフルを焼いてくれた。 いまどきのベルギーワッフルではなく、 小判型の柔らかい厚い皮を二つに折って、 カスタードクリームを挟んだもの。 ***** まず...

♪ Pick up items ♪ スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です