音と紅茶の時間

音楽と恋の話、想い出話、今の心模様に、紅茶を添えて。

のり入りたまご焼き

~たべものエッセイ~

*****

母が作ってくれるたまごやきは、砂糖入りで甘かった。

幼稚園のお弁当は、いつも残さずぴかぴかに食べていた。
そんな記憶がある。

ある日、お弁当に入っていたたまごやきは
ぐるぐる黒いうずまき模様があって、私はわくわくしながら口にした。

が、びっくりして、飲み込めないほどの味の衝撃。
なんとも表現できない違和感。

結局、私は食べられずに残して持ち帰った。

小さな私は、幼稚園から帰って、おいしくなくてびっくりしたことを
母に何度も訴えた気がする。

母も、たまには、おしゃれなおかずを作ってみたかったんだろう。
苦笑いしながら、ごめんごめんと、あやまっていた。

それ入り、我が家のたまごやきに、のりが渦巻くことはなかった。

私は思い出すたびに、ぐるぐるのたまごやきはおいしくなかったと
話を蒸し返した。今思えば、悪いことをしたと思う。

たぶん、甘くない、塩味の出し巻卵なら
おいしかったんじゃないかなぁ、と、今、思ってみていたりする。

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