どこかに居場所があればいい〜3月のライオン(10)羽海野チカ
3月のライオンは、自分の居場所を見つける、というのが
メインテーマなんじゃないかと思う。
この漫画を読んでいると、自分の学生時代を思い出したり、
子供たちの学校生活を想ったりする。
クラスで居場所が無かったり、部活でうまくいかなかったり、
そんなとき私は、気の合う友人がいる違う部室に、ふらふらと
おじゃましたりしていた。
自分が一番時間を長く過ごす空間で、素のままで気を緩めていて
居心地がいいのが、本当は一番いいのだけれど。
自分が受け入れてほしいと思う人に、受け入れてもらえない
という経験は、きっと誰にでもあることなのだと思う。
全ての知り合いと仲良くできるなんて、幻想なんだ。
クラスのアイツとはうまくいかないけど、違う学年のアイツとは
ウマが合う。そんなんでいいんだと思う。
誰とでも心から仲良くなんてできなくていい。
気の合う友達と付き合えばいい。近くにいる気の合わない人も
排除するのではなく、存在を認めて、やりすごせばいい。
主人公の桐山くん〜零ちゃんは、家に居場所がなかった。
自分の根っこにある空間でいつも孤独を感じていた。
光の届かない沼の底に飲み込まれていくような暗い感情。
今の桐山くんは、自分の居場所を見つけることができたんだな、
って思う。守りたい居場所。
桐山くんを理解して想ってくれている人達も、何人もいる。
一巻からずっと、がんばれがんばれ、って思いながら読んできた。
ひなちゃん、優しい川本家の人達も幸せでいてほしいと願う。
それにしても、3月のライオンを読むと、おいしいごはんを
食べなきゃな、っていつも思う。
どこかで居場所が無くても、一ヶ所にでも自分を認めてくれる
人や空間があって、おいしいごはんがあれば、それだけで、
優しい気持ちで生きていくことができるから。
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