音と紅茶の時間

音楽と恋の話、想い出話、今の心模様に、紅茶を添えて。

本の虫

小・中・高校と、私は時間があれば、いつでも学校の図書室に行って、ずーっと本を読んでいた。

本を開く時は、誰にも話しかけられず、誰にも気を使わず、一人になれる時間だった。今いる自分の場所ではない、本の中の異世界に没頭できる時間。

いつもいる図書の先生。顔を知っているいつもの人ではあるけれど、言葉を交わすのは、本を借りたり、返す時だけ。その距離感が居心地よかった。

本を読むのが好き、という中には、誰とも関わらずにいても許される空気感に救われる、という要素も大きかったと思う。

友達に気を使って興味の無い話をして噛み合わない自分に落ち込んだり、中庭に出て鬼ごっこしたりドッジボールをして、上手くついていけないという嫌な気持ちにモヤモヤしなくても許される。読みたい本があるから、という理由で暗黙のうちに断る口実ができるのだ。

あなたは無理をしないで、他人にあわせずに、そのままでいていいんだよ、と思わせてくれる場所が、私にとっては本であり、図書室だった。

大人になった私が居心地よく過ごせるのは、自分の存在を知りつつも、踏み込んでこない店員さんのいる喫茶店。よく行くお店で常連扱いされて、親しく話しかけられるのが好きな人もいるのだろうけれど、声をかけられるようになってしまったから、その喫茶店にはもう行けない、と感じる人も少なくはない気がする。

図書館という存在が、対人関係が苦手な子供の居場所、逃げ場として、このまま守られますように。親切な、おせっかいな大人に話しかけられて、その大人の望むような、人と関わる社交性のある子供になることを求められるというような、救いの無い問題解決をしなければいけない場所に変化してしまいませんように。

学校の図書室と、街にある図書館では、少し話が違うのかもしれないけれど。

本のある空間が、一人でいても、そっと許される、そんな場所のままでありますように。

***

♪ こちらもどうぞ ♪

親へのお年玉 私は社会人一年目で結婚したので、就職した初めてのお正月は、まだ独身。自分の給料から、初めて両親にお年玉をあげたら、とても喜んでくれた。 二年目。結婚して初めてのお正月。私は、自分の両親に、自分の名前を書いたお年玉袋を渡した。ちょっと迷った...
ココロの風邪 昨日はトースターでおもちを焦がし 部屋中、煙だらけにしてしまいました。 今朝は、上の子のためにチーズトースト、 下の子のためにシュガーバタートーストを焼いて、 たまには、と、パンの耳を油で揚げていたら 6割を黒焦げでダメにし、 それと並行...
copy__writing転載画像の元手芸作家さま一覧【minne】... @copy__writing というツイッターアカウントには、たくさんの素敵な手工芸作品の画像が転載されています。あれほど拡散されて、入手したいという方も大勢いらっしゃるのに、制作主である作家さんのページにたどり着けないのはとても残念であり...
DV夫から逃げられない妻の話 友人の友人の話なのですが。 お互いバツ1、家族構成は夫、妻(友人の友人)、 妻の連れ娘(小学校高学年)。 現在、再婚して5年。ずっと離婚を考えている、と。 ***** 夫が、妻の髪の毛を掴んで、部屋中を 引きずり回すのだそうです。 ...
クリエイター or パクリエイター ?... 人は模倣から始める。 素敵な言葉を紡ぎたいと思う人は、きっと心に響く言葉を読んで、自分でもそんな文章を作りたいと願ったのだろうし、素敵な写真を撮りたいと思う人は、きっと写真を見て心を打たれたことがある人なのだろう。 歌いたい、楽器を弾き...

♪ Pick up items ♪ スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です