音と紅茶の時間

音楽と恋の話、想い出話、今の心模様に、紅茶を添えて。

幼き日のサイクリングロード

小学校一年生の時、私は札幌市白石区の団地に住んでいた。
転勤族だったので、一年間だけ。

白石には、白石サイクリングロードというものがある。
現在は、北広島のエルフィンロードまでつながっているけれど、
当時は上野幌が終点だったような気がする。

どういう経緯かは分からないが、サイクリングをしよう、と
いう話が母達の間で持ち上がり、母と年子の兄たち、
お友達の母とその子供たち、最年少の私、というメンバーで、
秋の休日に、皆で自転車に乗って出かけた。

*****

小学5年生、4年生の兄たちを追って、一生懸命に自転車をこぐ。
もともとタイヤの大きさが大きく違うので、いくら必死にこいでも、
普通に走る兄たちに、どんどんおいて行かれる。

もちろん、少し先に行くと、止まって待っていてくれるのだけれど、
私が、やっとやっとで追いつき喜ぶと、休憩を終えた兄たちは、
ようやく来た、と言って、走り出してしまう。

私が休む時間はなかった。

終盤の坂道で、私が必死で自転車を押して登った後に、
普段は妹思いの兄が言った。

「待ってばかりで、ぜんぜん先に進めない」

がんばっても、がんばっても、兄たちの足手まといになってしまう。
しんどくて、へとへとに疲れていて、悔しくて悔しくて、
私は、とうとう泣き出してしまった。

*****

おやつに食べたキャラメルの中に、血の味に混じって
がりっと固いものがあった。

生まれてはじめて抜けた前歯だった。

*****

夕方、帰り道の最後に、鉄砲雨が降って、さかされて
また一生懸命自転車をこいだ。

地面に落ちた雨が膝まで跳ね上がってくるほどの
ものすごい勢いの雨で、ようやく家に着いたときには、
あまりのずぶ濡れ具合に、皆で笑ってしまった。

*****

それきり、私は家族や友人とサイクリングをした覚えがない。

今でも、大雨の中、自転車で走ると思い出す。
景色も見ずに、ひたすら兄たちの背中を追いかけて走った、
幼き日の記憶。

白石サイクリングロード・北広島サイクリングロード
   ~さっぽろ写真館
白石サイクリングロード~ジョグノート

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