音と紅茶の時間

音楽と恋の話、想い出話、今の心模様に、紅茶を添えて。

大切なものは人に譲ってはいけない

これは、もう亡くなって10年になる私の祖母、
つまりは、私の母の姑が、嫁に残した教訓。

私の母は、お人好しというか、人に悪く思われたくない人で、
欲しいと言われるものは、惜しいな、と思うものも、
親戚関係、友人に譲ってしまう人だった。

私の祖母は、欲しいものは譲ってくれと人に言い、
自分のものを人に分け与える、ということはしない人だったと
記憶している。ある意味、正直で素直。まあ、ケチな人だった。

*****

私の父方の祖父母は、自宅介護で手に負えなくなって介護施設に入る前に、
母と父の家(私の実家)で同居していた期間がある。

結婚した当初から、長男の嫁として、母はずっと頑張っていた。
姑に言われたことに従うのは、たとえ理不尽なことであっても、
不満があっても、納得がいかなくても、
嫁として当然の義務なのだとして、尽くしていた。

同居するようになり、一階のとても大事にしていた台所と居間を
義父母に譲ってしまったことは、ずっと母の中でくすぶり続けた
大きな不満だった。

祖父母は祖父母で、住み慣れた自分の家を離れて、
前より狭い空間で暮らすようになって、別に嬉しくも
なかったというか、不平たらたらだったらしい。

認知症も進み、母は、祖母にお金を盗んだという疑いもたびたびかけられ、
母は自分の家に入ることがつらく、家に足が向かない時期もあったらしい。

*****

母は、一度、堪忍袋の緒が切れて、祖母に、
「この部屋だけは本当に譲りたくなかった」と言ってみたらしい。

そうしたら、祖母は驚いた顔で、
「馬鹿だねぇ、譲りたくないもの、惜しいものは、
 人にはあげないものだよ」
と答えたそうだ。

そのとき母は、ああ、本当にそうだ、と悟ったのだそうだ。

義母は本当に正しくて賢いと。今まで大切なものを人にあげて、
不満を言い続けてきた自分の方が馬鹿だったのだと。

自分のとても大事なものを言われるままに人に譲っても、
その人はそれほど大切には扱わないものだし、
人に譲れる程度の価値しかないもので、不要品なんだと思われ、
涙を流しながら苦しい思いで譲ったなんて、
さらさら気づかれることはないのだと。

それからは、自分がとても大切に思うものは人には渡さない、
そう、心に決めたらしい。

「おばあちゃんが、お母さんに教えてくれた、すごく大切なこと」
母は、私にそう言って笑った。

*****

私の上の子供も、人から悪く思われたくなくて、
友達から欲しいと言われるカードなどをあげてしまい、
あげなきゃよかったとぶつぶつ悔やんで言い続けたり、
欲しいと言われているけど、どうしよう、と悩んだりする。

そのとき、私は、いつも祖母が母に伝えた教えを思い出して
こう言うのだ。

「あげたかったらあげたらいい。
 でも、自分がとても大切で、人にあげたくないものは、
 ケチと言われようが、優しくなくてひどいと責められようが、
 あげないほうがいい。がんばって断る。」

それで嫌われることなんて、ないんだ。
もし嫌われたら嫌われたでしょうがない。

自分の気持ちを犠牲にして我慢して、成り立つような関係が
いい友達関係であるなんて、私は思わない。

自分の後悔と引き替えにできるほど、果たして相手は
飛び上がって喜んでいるだろうか?

相手の喜ぶ顔が見たいから、ではなくて、相手に嫌われたくないから、
で発生する行動を私はよしとしない。

一時的には人間関係が上手くいったように見えても、自分も相手も
幸せにすることはないだろう。

*****

祖父母の家で、めったに会えない大勢のいとこたちで集まって、
お正月にずーっと遊んでいた記憶は、今でも私の中に残っている。

母の作ったごちそうに混じって、毎年並ぶ
祖母の作ってくれた黒豆は固かったけれど、二回だけ気まぐれに
作ってくれた土瓶蒸しは、おいしかったな、って思う。

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コメント

  • 確かに、家族といっても価値観が違ったりしますもんね
    他人ならなおさら違いますもんね

    自分が集めている漫画とかでも、
    親からしたらゴミとまでは行かないですが、要らない物なんですよね

  • でも、子供のおもちゃって、
    将来価値が出て来くるかもしれないですよ

    自分も、昔のおもちゃを大事にしてたら、
    オークションで大金持ちになれたかもしれないのに(笑)

  • 子供のおもちゃはかさばるから、大きくなって、
    本人がいいって言ったら、ぜひとも片付けちゃいたいなぁ笑。
    所有スペースも財産のうちですからね♪

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