音と紅茶の時間

音楽と恋の話、想い出話、今の心模様に、紅茶を添えて。

ドン屋さんがやってきた

ドン屋さんがやってきた

かれこれ25年くらい前の記憶なので
少し間違っているかもしれませんが…。

北海道旭川市、私たち家族が、社宅の団地に住んでいた頃の話です。

*****

冬の始め、まだ雪が降らない頃、小学校からの帰り道、
団地の広場で子供たちが、列を作っているのを見かけました。

私は大急ぎで家に帰り、ランドセルを投げ出し、
「おかーさん、おかあさんっ!
 お米ちょうだい!『ドンやさん』が来てる!」
と母をせかしました。

「そう、ドン屋さんが来てるんだ。じゃあ、二合作ってもらってね。」
と、お米を量ってビニール袋にいれ、大きめのスーパーの袋と
百円玉を2枚、手渡してくれました。

私は広場に駆け戻り、列の後ろに並びます。

ドンやさんのおじさんは、
「はい、1合。はい、2合。」
と、お金を受け取りながら、大きい黒い釜に
どんどんお米を入れていきます。

「じゃあ、始めるか。ちょっと待っててよー。」
というと、おじさんは釜の蓋をしめ、
火を燃やしながら、ぐるぐるとハンドルを回して
中のお米を熱くしていきます。

待っている間、子供たちは火にあたりながら、
回転する釜を観察したり、公園で遊んだり。

「ドンするぞー。」
というおじさんの声に、近寄って耳をふさぐ子もいれば
遠ざかって眺める子も。

おじさんが、ハンマーで釜の弁を叩くと
!ドーン!
と大きい破裂音がし、釜の中から出てきたのは
ほかほかの『ドン』。

また列に並ぶと、
「はい、1合。はい、2合。」
と、スーパーの袋に、持ってきたお米の分の『ドン』を
入れてくれます。

ちょっぴりこげの匂いがしてあたたかい、
ほのかに甘くてしょっぱい『ドン』をむしゃむしゃ食べながら、
寒い北風のなか、ちりぢりなって
みんな家に帰るのでした。

*****

この『ドン』、お米を加熱加圧した後、
一気に減圧し、膨らませたもの。

一般的には、ポン菓子と呼ばれているようです。
駄菓子屋さんでは、にんじん、とか、ばくだん、
ライスパフとかいう名前で、今でも売ってたりします。

でもやっぱり、寒い中、作りたてを食べたほどには
おいしくは感じられないんですよね。

Wikipediaさんによると、現在は、ほとんど巡回販売は
すたれてしまったそうです。
たしかに物騒な音がしましたし、衛生上、今は難しいこともあるんでしょうね。
子供たちには、すごく受けると思うんですけど。

私、寒くなってくると、ドン屋さんがくるのを
ずっと楽しみに待ってたんですよね。
北風が吹く季節になると、今でも思い出すんです。

♪ こちらもどうぞ ♪

ハーゲンダッツショップが日本撤退... 昨年末、2012年12月31日、うちの最寄りの ハーゲンダッツショップ、津田沼店が閉店しました。 ◆明後日、津田沼のハーゲンダッツが閉店します その後も、各地のハーゲンダッツショップが 閉店しているという話を聞いていたのですが、 とうと...
母のクリームワッフル 南部鉄器ワッフル型 小学校が早く終わった日や お休みの日には、 ときどき、母がワッフルを焼いてくれた。 いまどきのベルギーワッフルではなく、 小判型の柔らかい厚い皮を二つに折って、 カスタードクリームを挟んだもの。 ***** まず...
梅の魔女 梅シロップを漬けて2週間。すでにほぼ氷砂糖は溶けていて、炭酸で割って飲みはじめている。そろそろ梅の実を取り出して火を入れないと、と思う。 小鍋に梅シロップを漉しながら入れる。とろりとした薄い金色の液体。 弱火にかけながらゆっくり...
心象と実像のクレープ ふんわりと漂う、粉の焼ける甘い匂い。丸い鉄板の上でくるりと伸ばされた生地は、薄く黄色く少し茶色の焦げ目がついている。絞ったクリームにフルーツやチョコがのせられ、手際よく、くるくると三角に巻かれていく。しゅっと紙に包まれ、焼きたての薄い皮から...
のり入りたまご焼き ~たべものエッセイ~ ***** 母が作ってくれるたまごやきは、砂糖入りで甘かった。 幼稚園のお弁当は、いつも残さずぴかぴかに食べていた。 そんな記憶がある。 ある日、お弁当に入っていたたまごやきは ぐるぐる黒いうずまき模様があ...

♪ Pick up items ♪ スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です