のり入りたまご焼き
~たべものエッセイ~
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母が作ってくれるたまごやきは、砂糖入りで甘かった。
幼稚園のお弁当は、いつも残さずぴかぴかに食べていた。
そんな記憶がある。
ある日、お弁当に入っていたたまごやきは
ぐるぐる黒いうずまき模様があって、私はわくわくしながら口にした。
が、びっくりして、飲み込めないほどの味の衝撃。
なんとも表現できない違和感。
結局、私は食べられずに残して持ち帰った。
小さな私は、幼稚園から帰って、おいしくなくてびっくりしたことを
母に何度も訴えた気がする。
母も、たまには、おしゃれなおかずを作ってみたかったんだろう。
苦笑いしながら、ごめんごめんと、あやまっていた。
それ入り、我が家のたまごやきに、のりが渦巻くことはなかった。
私は思い出すたびに、ぐるぐるのたまごやきはおいしくなかったと
話を蒸し返した。今思えば、悪いことをしたと思う。
たぶん、甘くない、塩味の出し巻卵なら
おいしかったんじゃないかなぁ、と、今、思ってみていたりする。
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