カフェラテ十三分間
キミがいつものようにレーズンパンをかじっているころ、もそもそと起き出して、キッチンに向かう。
ケトルのお湯は一度沸いて温まっている。もう一度火にかけて、沸騰させている間に、マグカップを棚から取り出し、ドリップコーヒーの封を切り、セットする。コーヒーの粉の上に、スティック一本分の砂糖をのせる。邪道だな、と思いながら。
無造作にお湯を注ぎ、カップからフィルターを外したら、冷蔵庫から取り出した紙パックから牛乳を適当に注ぐ。
はい。と、テーブルにカフェラテのカップを置くと、キミはとても嬉しそうにする。
忙しくて入れられなかった日は、今日はカフェラテ飲めなかったって、出かける前にちょっとだけ残念そうに言うから、明日も入れてあげたいと思う。
私がキミにしてあげていることはそれくらいだけど。
それでキミが嬉しいのなら、おやすいごようさって思う。
お願いされた訳でも、誓った訳でもないけれど、キミのために使う朝の三分間と、キミがカフェラテを飲みながらPCを眺める十分間が、私たちのささやかないつもの約束。
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