過去の記憶1・屁理屈をいう子供
かこの過去の思い出をたどるシリーズ。
ダークなので、気が重くなりたくない方は
購読をお控えくださいませ(笑)。
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思い返せば、私は、小さい頃から
理屈っぽい子供だった。
本を読むのが大好きで、国語や理科が大好き。
興味のあることは、すぐに覚えてしまうけど、
関心の無いことを丸暗記するのは、とても苦手。
空はどうして青いの?
地球はどうやってできたの?
人の気持ちは、どういう風に動くの?
小学校の中休みの時間は、
ドッジボールや鬼ごっこをするため
外に出ていく同級生を尻目に、
いつも図書室から借りてきた本を読んでいた。
私は、いわゆる勉強のよく出来る
優等生で、学級委員などもしていたが
身体を動かすことだけは、非常に不得意だった。
ドッジボールも、鬼ごっこも嫌い。
勝てないし、疲れるから。
何が面白いのか、ちっとも分からない。
・・・あしがはやくて、かてるんなら
おもしろいのかもしれないけど。
・・・たまにはみんなと
あそんでみたいけど。
でも、いれて、なんていえない。
本の中には、私の全てがあった。
本を読めば、私は世界の全てを
分かったような気持ちになれた。
兄のいた私は、同い年の子供たちを
とても子供っぽく感じて、
内心バカにしていたと思う。
どうして、そんなことでけんかするの?
なんで、ゆずれないかな。
ひとはひとで、いいじゃない。
いじめなんて、ばかげてる。
きにいらないひとは、ほおっておけばいいのに。
正しいことは、正しい。
ルールは、ルール。守るべき。
でも、理屈の通らないことを
押し付けられることには、
徹底して反論する。
廊下は、けして走らない子供だった。
だって、はしってはいけないんでしょう?
どうして、だんしがはしるのか、ぜんぜんわからない。
でも、非常ベルは押してみたいという
衝動は、ずっと持っていた。
そして、ためらわずに押してしまえる
そんな人には、うっすらと憧れの気持ちも抱いていた。
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母は、そんな私を心配しながらも
この子は、この子だから、と諦めていたらしい。
兄たちは、男だから、
頭でっかちの人間になっては困ると
強制的に、野球チームに入れられていた。
私は、もう、年の離れた三人目で
しかも頑固で意思や行動を曲げない
子供だったから、
この子はそのままゆがめずに育てようと
思っていたらしい。
横断歩道のない道路を
渡ってはいけないルールだからと
けして渡らない私のことは、気にしていたらしいけど。
私が疑問に思うことは、
辞書や、辞典、本で調べてみよう、と
母はいつも言っていた。
私は、そのうち勝手に本を読むようになった。
思い返せば、いつも、家族みんな
図書館で借りた本を
ばらばらに読んでいたような記憶がある。
納得いかなかったのは、
普段は科学的なことに興味がある
私を受け入れている両親なのに、
私を叱るとき、私が納得がいかないと反論すると、
「屁理屈を言う!」と怒ること。
私は、
へりくつじゃない、りくつだ
という言葉をぐっと飲み込んだ。
そんなことを言うと、もっと怒られるから。
理屈をいつもかざしていいわけではないらしい、
そんなことも、小学生の頃に、気が付いた。
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