雇われ店長の切なさ
~雇われ店長のお店で働く雇われ店員が思ったこと~
私は今まで何度も、雇われ店長のいるお店で働いてきた。
お客さまはあまり意識していないかもしれないけれど、
飲食店をはじめとして、経営の責任者が店長ではなく、
その上にいるオーナーであるお店は、けっこう多い。
雇われ店長になる最大のメリットは、資金がなくても
自分のお店が持てる、ということだと思う。
でも、この『自分のお店』というのが、けっこう曲者で、
お店の売り上げなどには責任があるけれど、店長の権限で
なんでも自由に決められるわけではない。
メニューや価格、内装など、お店がどの程度、店長に任される
かっていうのは、オーナーの性格によるところが多いけれど、
お店の売り上げを上げるために、こういうことをしてみたい、
と言っても、オーナーがダメといえばダメだし、
従業員を雇うのにも、自分が採用に関わることができても、
オーナーが連れてきた人は、無条件で受け入れなくては
いけなかったりする。
同じオーナーの経営するお店でも、店長によってぜんぜん違う
雰囲気のお店になったりする。
店長ってのは、自分のお店に愛着があるものと思うんだ。
お店のことをいつも考えてるし、お客さまのことを考えているし、
一緒に働く従業員のことだって、考えてる。
雇われ店長の最大の悲劇は、お店を開店する、閉店する
決定権がないってことだと思う。
お店がわりとうまくいっていても、オーナーが飽きて
違う店にしよう、と言ったらそうなるし、もっと気に入った
お店を任せてみたい人物が現れたら、店長交替になったりする。
店長はオーナーから、希望すれば新しい店長の下で働いていいよ、
と言われたりするけれども、『自分のお店』が、ある日やってきた
知らない人物に乗っ取られて、その下で働ける気丈な元店長は
少ないだろう。
どんなに『自分のお店』を大切に思っていても、本当の意味で
自分のものにすることができない雇われ店長のお店が、
オーナーの意向であっさり無くなるのを見るたびに、切ないなぁ、
と雇われ店員である私は思うのだ。
もちろん、店長と一緒に作ってきた、自分が大好きで、大切に思って
いた空間が消えてしまうのが、一番淋しかったりするのだけれど。
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コメント
雇われ店長が、自分で経営するようになると考えが変わることもある。
採算を気にする経営者ではないから、できることもあり
経営に関わってしまうと、採算を気にするために性格が変わる。
経営者になったためにダメになった店長というのも多くいる。
採算を気にしないからダメな店というのもあるし
採算を気にしないから輝いている店もある。
経営者さんから見えている世界と、店長さんから見えている世界って、
違うんだよなぁ、って思う。
もちろん店員さんから見えている世界も。お客さんから見えている世界も。