めんこい
アンティーク風 水玉プリント~生地の森
*****
10代の終わりころに付き合っていた人。
6つ年上だった人。
会うたびに、目を細めて、
「めんこいなぁ」って、私に言った。
頭を撫でられて、いつも子ども扱いされていると
私はむくれたものだけれど。
そして、彼の故郷で、いつまでも手元にいてほしいという
彼の元から飛び出してしまった私だけれど。
別れ話をしながら、わんわん泣く私の涙を
彼は指でそっとぬぐって、
「泣くなよぉ、泣きたいのはこっちだぞ」
と、困った顔で言ったっけ。
彼のまなざしは、いつも優しく、あたたかかったなぁ。
あんな風に、「大好き」「かわいい」「いとしい」の
気持ちがつまった目で、見つめられてみたいなぁ、なんて、
ふと、急に、思ってしまった。
こんな寒い日に。
|