音と紅茶の時間

音楽と恋の話、想い出話、今の心模様に、紅茶を添えて。

良妻賢母の愚痴だらけ

私の母は、いわゆる良妻賢母。

夫を立て、家族や親戚のために自分を犠牲にすることもいとわず、
節約しながらも健康によく美味しい食事をいつも作り
いつでも人を呼べるように、きちんと家は片付き、
三人の子供を育てながら、専業主婦を貫き、貯金をし、
ほぼ現金で家を建てました。

三人の子供とも、それなりに大きい企業に就職、
適齢期に結婚し、どの家にも孫が複数いる状態です。
老後に向けての貯金も完了。

離れている子供に、普段は、まったく干渉もしない。
よくできた、文句のつけようのない親だと思います。

自我の強い娘である私のやりたいと思うことも、
いつもやらせてくれていたように思います。
頭ごなしに反対されたことは、なかったような気がします。

*****

母は、いろんなことを我慢してきた人間でした。
人に嫌われないように、嫌われないように振る舞う。

遊んでいる姉妹たちを横目で見ながら、
大家族の食事の支度をいつもし、
親に言われて、大学進学をあきらめました。

結婚してからも、長男の嫁としての勤めをきちんと果たし、
夫が嫌がるからと、働きたいのに専業主婦でいました。

子供たちをしっかり育て、夫の意に沿う
良妻賢母である自分を誇りながら、いつも愚痴だらけでした。

友人づきあいでも、損な役回り。
嫌なことを言われても嫌だと言えない。

心の中に、強い自分というものを持ちながら、
それを表現することを許されなかった幼少時代の母。
立派であることでしか、自分が認めてもらえないという思い込み。

不満、不安。

*****

私は、そんな母の愚痴に付き合いながら育ちました。

私は、自分のやりたいことをやれる自分になろう。
嫌われてもいい、世間の常識から外れてもいい、
自分のしたいとこを見つけて、自分で実現できる人間になろう。

そう心に決めていました。

私は、母の願い、望みを叶えたかったんだと思います。

でも、そんな風に、自由に振る舞う私を見続けて
母は、複雑だったんじゃないでしょうか。

自由に、自分の意志で動きたい自分と
自分の意志で動くと、認めてもらえないのでないかという葛藤。

だから、母は、いつも表向きは私を応援してくれました。
でも、内心は、どうだったんでしょう?

私は、大学進学時には、実家から離れると心に決めていたし、
母も、それに賛成しました。

私たちは、これ以上近くにいてはいけない、
物理的に距離を取った方がいい、
そう、感じていたような気がします。

*****

結婚してから急に、私は自分が良妻でいなければ
いけないような気がしたんです。

夫の母親も、私の母親も、私にそうであることを望んだから。

でも、夫はそれを喜ばなかった。
私も、そう振る舞うことができなかった。

それを見て、義母も母も、諦めたようです。
息子(娘の旦那さん)の望み通りなんだから、仕方ないわね、と。

そこには私の意思はなく、不満を感じないわけではないのですが
それで世の中が上手く回るのなら、まあ、よいのでしょう。

旦那さまや、その親戚、子供に尽くすことが、幸せ、妻のつとめ、
自分が何をしたいかなんて、考える必要はないと言われ、
育てられてきた時代の人の価値観なのですから。

*****

私の父は、自分が嫌われる、好かれる、そんなことは全く気にせず
自分の言いたいことを自分の言いたいときに言う人間です。

母は、そんな父に、いつも腹を立てながら、
自分のできないことをあっさりとしてしまう、そんな父だからこそ
魅力を感じて結婚したのだと思います。

よく母が言うのです。父は好き放題にしているけれど、
我慢したり、遠慮したりしないから、かえって孫たちに好かれている、と。

母もね、もう20年間くらい、自分の言いたいことを
我慢せずに言えるようになる練習をし続けている気がするんですよ。

*****

いわゆる良妻賢母じゃなくていい、夫や子供に尽くさなくていい、
自分自身のしたいことをして、愚痴の無い人生を過ごせる
そんな私でありたいと、私は思っているんです。

それでも、私は、どこかで、良妻賢母であったほうがいいという
価値観からも、抜け出せずにいるのです。

その思いは、いったいどこから来るんだろうな・・・。

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