過去の記憶2・友達が欲しい
過去の記憶1から。
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私は、転勤族の子供だった。
今ある人間関係は、そのうちリセットされる。
そう思って、同級生とは付き合っていた。
本を読んでいるだけではなく
友達とも遊びたい、そう、突然思ったのは
小学校3年生のとき。
でも、もうその時には、人間関係が出来上がっていた。
どうしたら、仲間に入れるのか、分からない。
鬼ごっこや、ドッジボールをしてみても
全然面白くない。
幸い、一緒に漫画を描いたり、本を読んだり、
たこ焼きを焼いたりできる友人が二人出来たが
その子達と、遊べない日は、家でひたすら本を読んでいた。
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小学校4年生のとき、歌うことが大好きだった私は
転校した先で合唱部に入り、面白い子達に出会った。
私のことを面白いと言ってくれる友達。
かこは、むずかしいことばをつかうね
って笑いながら、指摘してくれた、友達。
いつも四人で一緒に、コーナーを分担して本を作ったり、
カセットテープにラジオ番組?を吹き込んで、
クラスで配ったりした。
放課後は、誰かの家に集まって
次の本の企画を考えたり、手芸をしたり。
おしゃべりしていると面白くて
涙を流しながら、息が苦しくなるくらい笑った。
まさしく箸が転げても笑う、そんな時間が
たくさんあった。
海に行って、波を追いかけて遊ぶこともあった。
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その仲間と一緒にいられたのは、たったの一年。
父がまた、転勤になったのだ。
私は、ああ、また、いつものように
引越しの時期が来たな、と思い、
仲間に、さらりと別れを告げた。
こんど、ひっこしするんだって。
そしたら、友人たちは、激怒した。
なんで、かこは、そんなにへいきそうなの!
あたりまえにしてるの!
涙をぼろぼろ流しながら、ものすごく怒った。
私は、その時は、なんでそんなに
彼女たちが怒っているか分からず、
驚きながら、家に帰った。
母に、こんな風に話したら、
皆、すごく泣いて怒ったんだよって言ったら
いい友達が、できたねって言った。
私は、あのとき、仲間たちが本気で
腹を立ててくれたことを
今でも忘れていない。
そして、距離が離れても
切れずにつながっていく人間関係もあるのだと
そのときに学んだのだ。
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