大切なものは人に譲ってはいけない
これは、もう亡くなって10年になる私の祖母、
つまりは、私の母の姑が、嫁に残した教訓。
私の母は、お人好しというか、人に悪く思われたくない人で、
欲しいと言われるものは、惜しいな、と思うものも、
親戚関係、友人に譲ってしまう人だった。
私の祖母は、欲しいものは譲ってくれと人に言い、
自分のものを人に分け与える、ということはしない人だったと
記憶している。ある意味、正直で素直。まあ、ケチな人だった。
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私の父方の祖父母は、自宅介護で手に負えなくなって介護施設に入る前に、
母と父の家(私の実家)で同居していた期間がある。
結婚した当初から、長男の嫁として、母はずっと頑張っていた。
姑に言われたことに従うのは、たとえ理不尽なことであっても、
不満があっても、納得がいかなくても、
嫁として当然の義務なのだとして、尽くしていた。
同居するようになり、一階のとても大事にしていた台所と居間を
義父母に譲ってしまったことは、ずっと母の中でくすぶり続けた
大きな不満だった。
祖父母は祖父母で、住み慣れた自分の家を離れて、
前より狭い空間で暮らすようになって、別に嬉しくも
なかったというか、不平たらたらだったらしい。
認知症も進み、母は、祖母にお金を盗んだという疑いもたびたびかけられ、
母は自分の家に入ることがつらく、家に足が向かない時期もあったらしい。
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母は、一度、堪忍袋の緒が切れて、祖母に、
「この部屋だけは本当に譲りたくなかった」と言ってみたらしい。
そうしたら、祖母は驚いた顔で、
「馬鹿だねぇ、譲りたくないもの、惜しいものは、
人にはあげないものだよ」
と答えたそうだ。
そのとき母は、ああ、本当にそうだ、と悟ったのだそうだ。
義母は本当に正しくて賢いと。今まで大切なものを人にあげて、
不満を言い続けてきた自分の方が馬鹿だったのだと。
自分のとても大事なものを言われるままに人に譲っても、
その人はそれほど大切には扱わないものだし、
人に譲れる程度の価値しかないもので、不要品なんだと思われ、
涙を流しながら苦しい思いで譲ったなんて、
さらさら気づかれることはないのだと。
それからは、自分がとても大切に思うものは人には渡さない、
そう、心に決めたらしい。
「おばあちゃんが、お母さんに教えてくれた、すごく大切なこと」
母は、私にそう言って笑った。
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私の上の子供も、人から悪く思われたくなくて、
友達から欲しいと言われるカードなどをあげてしまい、
あげなきゃよかったとぶつぶつ悔やんで言い続けたり、
欲しいと言われているけど、どうしよう、と悩んだりする。
そのとき、私は、いつも祖母が母に伝えた教えを思い出して
こう言うのだ。
「あげたかったらあげたらいい。
でも、自分がとても大切で、人にあげたくないものは、
ケチと言われようが、優しくなくてひどいと責められようが、
あげないほうがいい。がんばって断る。」
それで嫌われることなんて、ないんだ。
もし嫌われたら嫌われたでしょうがない。
自分の気持ちを犠牲にして我慢して、成り立つような関係が
いい友達関係であるなんて、私は思わない。
自分の後悔と引き替えにできるほど、果たして相手は
飛び上がって喜んでいるだろうか?
相手の喜ぶ顔が見たいから、ではなくて、相手に嫌われたくないから、
で発生する行動を私はよしとしない。
一時的には人間関係が上手くいったように見えても、自分も相手も
幸せにすることはないだろう。
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祖父母の家で、めったに会えない大勢のいとこたちで集まって、
お正月にずーっと遊んでいた記憶は、今でも私の中に残っている。
母の作ったごちそうに混じって、毎年並ぶ
祖母の作ってくれた黒豆は固かったけれど、二回だけ気まぐれに
作ってくれた土瓶蒸しは、おいしかったな、って思う。
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コメント
確かに、家族といっても価値観が違ったりしますもんね
他人ならなおさら違いますもんね
自分が集めている漫画とかでも、
親からしたらゴミとまでは行かないですが、要らない物なんですよね
子供たちの物を勝手に捨てられないから、
家が片付かないんだよねぇ・・・笑
でも、子供のおもちゃって、
将来価値が出て来くるかもしれないですよ
自分も、昔のおもちゃを大事にしてたら、
オークションで大金持ちになれたかもしれないのに(笑)
子供のおもちゃはかさばるから、大きくなって、
本人がいいって言ったら、ぜひとも片付けちゃいたいなぁ笑。
所有スペースも財産のうちですからね♪